ディスレクシアの人には隠れた才能があるかもしれない 〜特徴的な仕事×支援方法〜

ディスレクシアとは?

ディスレクシアとは、LD(学習障害)と呼ばれる発達障害の中で、「読むことに困難のある症状」のことを指します。

文字は、現代社会においては「読めて当然」という存在ですので、ディスレクシアを抱える人は、様々な場面で困り感を抱えてしまいます。

 

一方で、ディスレクシアを抱える人には、ある特定の能力が高い人が多いことが昔から知られています。

本日は、そんなディスレクシアについての紹介です。

 

2つの苦手な力

 

アメリカでは昔からディスレクシアを抱える人が多いことが知られています。

これは、英語と日本語の言語的な特徴の差によることが原因と言われており、英語圏では日本よりずっと昔からディスレクシアの研究が行われてきました。

 

1998年にイエール大学でディスレクシアをもつ人とない人の、脳をスキャンして比較する研究が行われました。

その結果、ディスレクシアを抱える人は、「単語を分析する領域」「語形を認識する領域」の活動が低下していました。

 

「単語を分析する領域」は、文字と音をつなげる力を司っています。

例えば、「あ」というひらがなを見て、頭の中ですぐに『あ』と思い浮かぶのはこの領域の働きです。

 

一方、「語形を認識する領域」は、単語を認識する力を司っています。

例えば「アイスクリーム」という七文字の単語を見て、一文字ずつ読むのではなく、すぐに『アイスクリーム』と理解できるのは、この領域の力です。

 

人は、最初に「単語を分析する領域」を使って文字を認識していき、慣れてきたら「語形を認識する領域」を使って、単語でひとまとまりで認識できるようになります。

 

この2つの領域を使って文字に触れていくたび、人はスムーズに文章を読めるようになっていきます。

そして、ディスレクシアの人は、この2つの領域の活動が低下しているため、読みの困難が生まれていると考えられています。

 

S.E.Shaywitz et al.,“Function Disruption in the Organization of the Brain for Reading in the Dyslexia,”Proceedings of the National Academy of Sciences95(1998):2636-2641.

 

得意な力

 

上記のように、ディスレクシアの読みの困難が生まれる研究は昔からあり、日本でも多く行われています。

 

しかし、支援現場では「強み」を見つけて活用していくことが、自立した生活を送る上で大切になると言われます。そして、海外ではディスレクシアを抱える人の「強み」を見つける研究も、実は盛んに行われています。

 

例えば、上記の研究でも「ディスレクシアを抱える人は文字を読むときに『形の認識』『視空間把握の力』を使っている」という報告があります。

もちろん、文字を読むときに活躍する領域ではないので、読む力にはほぼ影響しませんが、ディスレクシアを抱える人は『視空間能力』が高い傾向にあることが示されています。

例えば、イギリスの美術学校にはディスレクシアを抱える人が多いことが知られており、1学年360人の生徒のうち、75%がディスレクシア(あるいはディスレクシア傾向)であったという研究もあります。

 

また、思考テストの言語部門は点数が低くても、図形(視空間)部門では、平均点が高かったそうです。

 

 

Sara G.Tarver,Patricia S.Ellsworth,and David J. Rounds,“Figural and Verbal Creativity in Learning Disabled and Nondisabled Children,”Learning Disability Quarterly3(Summer 1980):11-18

強みを活かす

 

美術学校にディスレクシアの人が多いことを紹介しましたが、それ以外にも視空間能力を生かして成功した著名人が多いことでも有名です。

 

俳優のトム・クルーズが有名ですが、他にも、

  • ウーピー・ゴールドバーグ(『天使にラブソング』をの主演女優)
  • モハメド・アリ(ボクサー)
  • ノーアン・ライアン(野球)
  • ネルソン・ロックフェラー(副大統領:祖父はスタンダード石油のジョン・ロックフェラー)

など、文字が読めないハンデを乗り越えて成功した人が多くいます。視空間能力は、芸術、スポーツ、グラフィックデザイナーなどのクリエイティブな仕事では、非常に活かすことのできる力です。

 

特に、スポーツは相手との距離感を測ったり、目と体の協応能力が高いことによる球技の旨さなどに繋がっていると考えられ、大きなメリットにもなっています。

このような話には、「成功したのはハンデを上回る才能があったからだろう」という意見が付き纏うので、必ずしも「学習障害=天才」と結びつけることはしませんが、「強み」に目を向けることの大切さを認識するのは、とても良いと思います。

 

実際、記事を書いている著者も、学習障害を抱える子が多く通う施設に勤務していますが、勉強の能力に比例して、工作能力が高い子が非常に多いです。

おそらく、作品だけをみているだけではテストの点数を予想することは不可能だと思われますし、個人情報があるので紹介はできませんが、SNSに掲載すればたちまちファンができそうな、素敵な才能をもった子が数多くいます。

 

今は、SNSマーケティングなどの発達により、「得意=仕事」が成立しやすい環境になりつつあります。

将来の自立を考える上で、強みに目を向けた支援を展開できるといいですね(^ ^)

 

最後に

従来は、困っている人に対して、

「困っている原因を探して、困っている原因を取り除く」

というアプローチが主流でした。

 

しかし今では、ポジティブ心理学を初めとする、

「その人の強みを伸ばして、困っている原因を取り除く」

という強みにフォーカスした支援が広がっています。

 

ぜひ、子どもたち個々が持っている強みを見つける支援者でありたいですね!

以上、参考になれば幸いです(^ ^)

 

 

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