「優しさ」はどう教える? 〜共感より◯◯が大事!〜

優しい人になって欲しい?

大人は「優しい人に育って欲しい!」と思い、子供に様々なアプローチをしますが、なかなか思った通りには育ってくれません。

 

 

心ない言葉や汚い言葉、アニメの影響で「ぶっ殺す!」なんて言葉が出た時には、つい叱ってしまうこともあります。

思い通りにならないのが子供という存在と言えますが、一体どうすれば優しく、思いやりのある行動を教えることができるのでしょうか?

 

共感を育てるには注意が必要

「優しさ」を教え方は様々ですが、一つの方法に「共感」を使ったアプローチは多いです。

 

「このクラスは仲間なんだから助け合おう!」

「困っている友達がいたら助けてあげよう!」

「(運動会で)協力して紅組は優勝しよう!」

 

このような、共感による仲間意識を持たせることで、集団内で協力し、助け合い協力する場を設けることで、優しい行動を身につけていきます。これは、主に日本の学校でベースとなるアプローチであり、「優しさ」を含めた社会性を高める教育として効果があると思われています。

 

しかし、この集団内で共感性を高めるアプローチは、危険性もあることがわかっています。

例えば、人は「共感的振る舞いをすることで、集団を形成する」という特徴があります。

 

これは、お互いの悲しみや嬉しさを共有した信頼できる家族・仲間を作ることで、外界の天敵からの危険を回避することができる、という生物学的メリットから生まれた力です。

 

一見、良い能力のように見えますし、実際仲間思いの子供はとても優しく見えるので、良いことのように感じます。

しかし、この共感と所属集団を使った指導には負の面も存在します。

それは、

  • 集団にリスクを与える仲間がいれば排除し始める
  • 自分の所属集団に対する共感性が上がり、他の集団への共感性が下がる

という2つの特徴です。

 

よって、子共たちに仲間意識や集団を意識させればさせるほど、自分とは異なる人をいじめる(排除する)リスクが上がってしまうのです。

 

なお、女性はこの集団への共感性が高いが故に、輪を乱す行動や異なる性格の人を排除する傾向がると報告した研究もあります。

参考HP

参考『Human Males Appear More Prepared Than Females to Resolve Conflicts with Same-Sex Peers』

<https://link.springer.com/article/10.1007/s12110-014-9198-z>

 

上記のように、ただ仲間意識を持たせるだけでは集団内での社会性は身に付いても、異なる人をいじめたり、排除したりする行動が生まれるので、指導の意味がないと言えます。

 

同情力トレーニング

そこで、注目されたのが「同情」に関するアプローチです。

 

同情とは、「他者の苦しみを感じて、なんとかしようとする力」のことを指します。とても良い力でありますが、日本において『同情』のイメージがなんとなく悪いのは、おそらく「家なき子」の影響が大きいと思います(中の人の私見)

 

ライプチヒのマックス・プランク認知科学研究所のシンガーは、同情を「手助けしようという意欲を含む思いやり」と解釈しています。そして、同情する人は困っている人に手を差し伸べる機会が多いことを報告しています。

 

また、シンガーは「同情力トレーニング」を紹介しています。これは、「親しい人(同じ所属集団の人)に対して持つ思いやりの気持ちを他の人にも広げるというテクニック」とされます。

以下で同情トレーニングの1つを紹介します。

 

 

子供に共感するのではなく、子どもの行動を評価する

同情力を高める方法として

「他の集団を思いやった人を評価する」

というものがあります。

 

 

例えば、小学校で班で勉強している時に「協力している班」を褒めて、評価することがあります。

クラス内の関係性を高めて、協力する力を高めることは大切な指導です。

 

しかし一方で、他の集団への共感性を下げる効果があるので、ここで終わるのは指導として不十分です。

(子供の頃、1組vs2組、5年生 vs6年生のように、所属集団を単位とした喧嘩やトラブルが起きるのは、この共感の力が原因です)

 

 

そこで、

「1年生に学校案内をしてあげたいです!」

「隣のクラスの子が怪我をしていたから、保健室に連れていきました!」

のような「子供たちから出た、他の集団への親切、優しい行動を褒めて評価をする」という指導が大切になります。

このアプローチにより、「信頼している仲間が集団外に親切にしている」という状況が、他の集団を天敵とみなす意識を減らし、親切な行動をする子供が増えるのです。

 

つまり、「友達を助ける」「友達と協力する」のような集団内のアプローチを評価すると同時に、「他のクラスの子を助けた」「他の学校の子と遊んだ」のような、集団外へのアプローチを評価することで、内外ともに優しい行動が増えていくのです。

 

この2つのアプローチを意識的に行うことはとても重要です。例えば、子供時代に社会性を学ぶ場所は多くが小中学校です。そして、1年間という長期間にわたってクラスという単位で行動することが多いので、

  • 共感を基にした仲間集団→クラスに合わない子を排除する(いじめ)
  • 他の集団との共感性を下げる→クラス外の子に攻撃性を発揮する場面が増える

などの社会的と言えない行動が増える原因になるからです。

 

例えば、運動会でクラス対抗リレーなどをすると、順位がつきます。

すると、

◯1位の組は、集団で喜び、他の組を下に見るようになる

◯最下位の組は、組の中で負けた原因人物を排除に動くようになる

 

と行った現象が起きやすくなります。

 

よって、例えば、「リレーで順位がついた後、キャプテン同士が握手をして健闘を称え合う」のような姿を入れる

その後、校長先生から「キャプテンのお互いを称える行動が素晴らしかった!」のように評価してもらう。

 

このような、集団外へのアプローチを全員に見せることで、負の共感を予防することができるようになります。

このほかにも色々なアプローチがありますが、外集団へのアプローチは、日常の場面で多くはないので、計画的に組み込んでいくことが大切になります。

 

終わりに

今回は、「優しい行動を教えるための同情力」について紹介しました。

 

学校は社会性を育てる場所と言っても、なかなか社会性の育て方が明確に示されているケースは少ないです。

特に共感性に対するアプローチは、集団に所属することが苦手な子にとっては、排除される要因を作ることもあります。

 

具体的に社会性につながるポイントを明確にして、指導を考えていきたいですね!

以上、参考になれば幸いです(^ ^)

 

参考

I Feel Your Pains (SCIENTIFIC AMERICAN December 2017)

日経サイエンス2018年6月号

EMPTHY FOR PAINS INVOLVES THE AFFESTIVE BUT NOT SENSORY COMPONENTS OF PAINS.

Tania Singer et.al. in science,Vol.303,pages 1157-1162;February 20,2004.

AGAINST EMPATHY:THE CASE FOR RATIONAL COMPASSION.Paul Bloom.Harper Collins,2016

 

 

 

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