ワーキングメモリ支援を通して、子どものレジリエンスを高める方法② ~具体的な支援方法編〜

ワーキングメモリとレジリエンス

前回「ワーキングメモリが低い子はレジリエンスを高めにくい」という話をしました。(以下:ワーキングメモリ=WM)

今回は、具体的にレジリエンスをどう高めていくのか?という話をしていきます。

まずレジリエンスを高めるには、目の前の課題に対して  

  • 「過去の経験からどのような困難か明確化する」(記憶)
  • 「何をすればいいか考える」(思考・判断)
  • 「どういう手順でやるか考える」(プランニング)

という3つのステップが必要でした。そしてWMは3つの活動全てに使われます。

よって、WMが低い子は課題に失敗し、レジリエンスも高めることができない、という流れが生まれます。この流れを予防し、対策する支援方法を以下で紹介していきます。

①課題分析

1つ目は、課題の分析です。

通常、
「お片付けしなさい」
「夕飯までに宿題を終わらせるのよ」

のように目の前に課題を提示されると、子どもは「何からやろうかな〜」と考えて終わりまでの見通しがつくか、「ん〜多分できるだろう」と、なんとなく達成できる実感を伴えば実行します。

そして、WMが低いことで失敗経験を積んでレジリエンスが低い状態だと、

「どうやればいいの〜」
「めんどくさい」
「やだ!」

と取り組むことに拒否を示します。

これは、今までの失敗を繰り返すことに拒否感を持ってしまうからです。

そこで最初に行うことは、目の前の課題をクリアするための手順を1つ1つ細分化・言語化して教えます。(これを課題分析と言います)

例えば、「明日の学校の用意」であれば、

▶︎「何が必要か?」
▶︎「夕飯までに何をしたいか」
▶︎「宿題には何分必要そうか?」

などを、子どもと相談して課題をメモしていきます。

②優先順位付け

その後、課題を優先順位をつけて子どもと並び変えていきます。

  • 3時からSwitchで遊ぶ
  • 3時55分にお母さんにアイスをもらいにいく(ゲームを確実にやめるため)
  • 4時から録画したテレビを見る
  • テレビが終わったら、元気なうちに宿題をする(多分15分で終わるけど、念のため30分見積もる)
  • 終わったら、夕飯の6時まで自由(ただしゲーム以外)
  • 6時夕飯でテーブルにつく

この並びかえも、目の前にやることが言葉になっているとWMに負担をかけないので、やりやすくなります。 

また、切り替えが苦手な子の場合は「時間で行動を切り替える場面は減らす」ということが大切です。行動の途中で「時間だから次にいきましょう」という行動はWMが低い子には負担が大きいからです。

一方、「テレビを見終わったら宿題をする」のように、行為で切り替えるように順番を工夫すると行動しやすくなります。

なお、WMはストレスがあると、機能しにくくなることが知られています。
(大人もストレスがあると、2つまでの作業しか記憶できなくなると言われています)

よって、精神的に切り替えやすい「行為で切り替えられる順番」になるように、最初は支援をすることが大切です。

③行動の視覚化

順番に並び替えたら、次は、視覚化してあげます。
(これは紙にやることを書いて、視界に入る場所に置いておく、などで十分です)

この状態で出来そうなら大丈夫でしょう。
もし、まだ難しそうであれば、百均のタイマーやスマホのアラームも使わせて、自分で時間管理の道具の使い方を教えると将来の役にも立ちます。

そして、クリアするたびに華丸やシールなど成功の証を書き足していくと、より成功体験の実感が強化されるので、レジリエンスも高まっていきます。(トークンエコノミーと言います)

④徐々に支援を抜いていく 

WMが低くても、何度か経験すると、頭と体で手順を覚えていきます。

このようなライフハックは、最後は子ども自信ができるようになることが重要ですので、徐々に支援は抜いていきます。

誰の手も借りずに、最後は「自分だけで達成できた!」という成功体験が、「次もやろう!」というレジリエンスに変わっていきます。

最後に 

以上、WM支援の具体的支援編でした。

よくある方法の組み合わせですが、レジリエンスという視点を合わせると支援の重要性がわかりやすいと思います。

また、これは支援者も環境によってできることと、できないことがあります。
(上の方法も仕事をもっている親御さんには難しいと思います^^;)

支援者のいる環境の中でWMの低い子を見て、その中で支援を入れたら身につけられそうなライフハック、あるいは勉強方法などに応用していただくと、レジリエンスを高めることができます。

特に、レジリエンスを高めるために大切なことは、①の「課題の明確化」と言われます。

「何をすれば良いか具体的なアクションをイメージできる」ということが、レジリエンスの低い子にとっては、新しい一歩を踏み出せる最も有効な方法であるとされるからです。

よって、最初の課題を明確化することだけでも、支援を入れてあげると成功までのステップができます。

また、園や学校の先生であれば、クラス全体でこのステップを取り入れてみると、全員のレジリエンスを高めることができます。

例えば、
▶︎「絵を描く課題の前に、終わりまでの行動を書かせて視覚化させる」
▶︎「2週間後のテストまでの行動をみんなで必要な行動を書かせて、並び替え、視覚化させる」
などです。

変化の激しい現代においてレジリエンスは重要な力とされます。子どもたちに具体的なステップを意識して、指導できるようにまずは支援者から取り組んでみてはいかがでしょうか?(^ ^)

以上です!一例ですが、参考になれば幸いです。


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