感情の整理が苦手な子の原因と、アンガーコントロールを教える方法

アンガーマネジメント

アンガーマネジメントの重要性は、よく言われます。しかし、実際にキレやすい子に感情コントロールの方法を教えるのは大変です。

また、アンガーマネジメントも種類がありますが、今回はASD(自閉症スペクトラム)があり、認知が偏っているケースでの教え方を紹介します。

横断歩道を渡ろうとすると

ASDの子は、様々な特性を持っているが故に、世の中の捉え方も、定型発達の人とは異なっていることがあります。

例えば、中の人が、先日横断歩道を渡ろうとした時の話です。

私の前にいたサラリーマンの人が、青信号になると、腕時計を焦って見ながら横断歩道をダッシュで渡っていきました。 

すると大学生ぐらいの男の人が「待てよ‼︎」と大声を出して、サラリーマンの人を追いかけていって、「びっくりしたじゃねえかよ!おい!」と怒っていました。

 サラリーマンの人も驚いたと思いますが、そこは冷静だったので「すいません」と誤り、その後は何事もなく終わりました。

これは、何が原因でこの大学生の人は怒ったのでしょうか?


感情学習の3セット

人は、体験と感情と言葉をセットにして学習します。

例えば、保育園で、積み木でお城を作って遊んでいる子が、他の子に間違って壊されてしまって泣いてしまいました。

すると、先生は抱きしめて「悲しかったね〜」と受け止めてあげます。

ここで、

▶︎ 体験=積み木を壊された
▶︎ 感情=泣いた
▶︎ 言語=「悲しい」という言葉

この3つが、セットになって学習します。

この学習経験を経ると、似たようなことが起きた時に、過去を思い出して、自分の状況を判断し、先生に「壊されて悲しいです」と言葉にして表すことができるのです。

このように人は、「体験」=「自分の感情」=「言葉」という3つの学習経験を積むことで、徐々に「この経験をした時は、こうすればいい」と、怒る以外にどう対応すればいいのかを理解して行動できるようになります。

逆に言えば、このような体験を通した感情経験、そしてその時の言葉かけが不足してしまうと、状況に合わせた適切な感情コントロールができずに、不適切な対応をとってしまうのです。

ASDの「認知の偏り」

うまく感情をコントロールできない子の原因は、様々ですが、今回はASDの子がパニックになりやすい原因から、対策を考えてみます。

ASDの子が感情のコントロールが苦手な原因として「認知の偏り」というものがあります。これは、簡単に言えば、「物事の受け取り方が、多くの人とは異なる」というものです。

先程の大学生の話ですと、急に走り出したサラリーマンは、別に大学生に向かって攻撃したわけではありません。だから多くの人は、「あ〜びっくりした!」と、自分の行動を理解して、感情を治めることができます。

しかし、大学生は「びっくりした=自分に攻撃された」と捉えて反撃に出ました。この受け取り方が、多くの人と異なっている(=偏っている)ことが「認知の偏り」です。

この認知の偏りがあると、周囲の人と感じ方が異なるので、対人関係でズレが大きくなり社会性の困難に繋がってしまうのです。

どう教えるか?

「認知の偏りがあるASDの子」に適切に感情を教えていくには、どうすればいいのでしょうか?

様々な教え方がありますが、1つは「感情の視覚化」という方法があります。

これは、何か嫌な体験をして不機嫌になっているASDの子は、「悲しい」「嫌い」「死んじゃえ!」など、様々な言葉を使います。

しかし、この時個々の言葉の使い分けをしているわけではありません。

嫌な気分を表す言葉を、とにかくなんでもぶつけているだけです。つまり、言葉と感情が繋がっていない状態です。

これは、感情、言葉共に目に見えないものをイメージしてつなげるという抽象的な思考が苦手なASDの子には、とても大変な作業です。

 よって、感情と言葉を視覚化して、教えてあげることが重要です。

ペットボトル

1つの方法として「ペットボトル」を使った教え方があります。

例えばで、ぷんぷんして怒って帰ってきた子に、「何があったの?」と状況を聞きます。

その時に、
「鬼ごっこでタッチされてないのに、タッチしたって嘘ついた!あいつ死ねばいいのに!」
と言いました。

そんな時は、先生から
「なるほど、嘘をつかれたと思ってイライラしたんですね(^ ^)」
と言って、ペットボトルに「イライラした」と書きます。

(「イライラした」と先生が、状況に合わせた言葉に言い換えてあげます。

これが、体験と言葉の一致であり、ラベリングという方法です)

そして、
「このペットボトルに、どれぐらいイライラしたか水を入れてみて」
と言って渡します。

すると、子どもはよくわからないので、ペットボトルの中に水を満杯まで入れてくれます。

そして、先生は、
「なるほど!でも鬼ごっこでタッチしたって、嘘をつかれた時のイライラはこれぐらいです!」
と言って、ペットボトルの水を、6割ぐらいまで捨ててしまいます。

(6割というのは、私の感覚ですが、要は怒りが100というマックスではない、とわかるだけでまずはOKです。)

「水を捨てて、6割のペットボトルを見せる」

これは、
「遊びの中で、トラブルが起きたのは、嫌な体験だったけど『死ね!』と100%で怒るほどではないよ」
ということを視覚化して教えるわけです。

そうして、「遊んでいる時のトラブル」は、「イライラ」で、「60%ぐらいの怒り」と、体験、言葉、感情を一致させます。

これは、継続して別の嫌な体験で怒った後に、同じペットボトルを使って、

▶︎「20%ぐらいの、びっくり」
▶︎「50%ぐらいの、イライラ」
▶︎「80%ぐらいの、ムカつく」

など、ペットボトルに書いていきます。

このように、視覚化しながら教えることで、認知の偏りを抑えながら、感情コントロールの力を育成していきます。

これを繰り返すことで、徐々に自分の感情をコントロールすることができるようになっていきます。 


最後に

今回は「感情の整理が苦手な子の原因と、アンガーコントロールを教える方法」を紹介しました。

あくまで一例ですが、このような感情を育てる理論と実践事例をセットにして考えることで、徐々に再現性のある対応ができるようになります。

また、ASDの子が認知に偏りが起きてしまう理由は、様々ありますので、こちらも今後紹介して生きたいと思います。

以上!参考になれば幸いです(^ ^)


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