発達障害は増えているのか? 〜これまでの研究から考える〜

発達障害は増えている?

発達障害は増えているのか?というテーマは、長年議論の的でもあります。

「『発達障害』という言葉が出てきたから、今まで見過ごされていた人たちが診断されているだけでしょ」という「増えていない」という主張がある一方で、

「概念が生まれた後も、有病率がどんどん上がっている!何か原因があるのでは?」と思い、「発達障害は増えている」と考える人もいます。

特に、「増えている」と主張する人は、いわゆる医学的に原因を探そう、という行動でもあるので、今まで、

▶︎ 水銀
▶︎ ワクチン
▶︎ グルテン
▶︎ 腸内細菌

などなど、様々な物質が発達障害の発症に影響しているのではないか?と紹介されてきました。

しかし、これらの環境要因的なテーマは、医学的根拠がまだ十分に示されていないため、まだ発達障害の数値的な上昇に直接関係しているのかは、まだわかっておりません。

可能性があるならば・・・

他にも「発達障害の人が増えている」という主張の中には、「男性の初婚年齢の上昇」があります。

発達障害は、遺伝的な要因で発生すると言われます。そして、男性は年齢が上がると遺伝子情報をコピーする際にエラーが起こりやすくなるため、発達障害他、様々な症状のリスクが増えるという仮説もあります。

つまり、
「男性の初婚年齢が上昇=発達障害が増加している」
ということです。

実際に、父親が38歳以上であれば、自閉症リスクが上昇するというニュースも数年前はありました。元々高齢出産のリスクは広く知られていますので、その意味で、一定の信憑性はありそうです。

しかし、この説も統計的に有意に差があるとは言えず、またメカニズムもまだ不明な部分が多いため、今後の研究を待っているという状態です。

参考:両親の年齢と子どもの発達

https://www.daiwa-grp.jp/dsh/results/38/pdf/19.pdf#search=%27自閉症+旦那+年齢%27

弘前大学の研究

弘前大学の斎藤まなぶ准教授と、子どものこころの発達研究センター 中村和彦教授ら研究グループが今年、日本国内のASDの有病率の研究を発表しました。

2013年より毎年、5歳児検診を実施して記録した結果「発達障害の増加はなかった」と報告しています。

他にも以下の事実を報告しています。

▶︎日本人の5歳におけるASDの割合は、3.22%(考えられていたよりも多いが、他の国と比べて多くはない)
▶︎ASDの他の疾患との併存率は88.5%
▶︎ 男女比は1.83:1
▶︎ ADHD(注意欠如多動症)を一緒にもっている割合50.6%
▶︎ DCD(発達性協調運動症)を一緒にもっている割合63.2%
▶︎ 知的発達症(知的障害)を一緒に持っている割合36.8%
▶︎ 境界知能(IQ70~85)を一緒に持っている割合20.7%

このような結果から、併存症状を有している割合が高いことも示されました。こちらもさらに深く研究が進むことが期待されます。

同じ基準で6年間にわたって調べてみると、発達障害は増えていなかったという結果でした。もちろん、日本国内の1つの研究であり、別の国や環境の場所で行えば、結果は変わるのかもしれません。

研究結果をどう使うのかは、個々人に委ねられますが、1つの情報として知っておく価値はあるでしょう。3.22%というのは従来の数値よりもかなり高い率なので、学校の30人中1〜2人は診断を受けるレベルで困っている可能性があるということです。

Prevalence and cumulative incidence of autism spectrum disorders and the patterns of co-occurring neurodevelopmental disorders in a total population sample of 5-year-old children

https://doi.org/10.1186/s13229-020-00342-5

最後に

現場と研究は、別物と考える風潮は多いですが、現場の人は積極的に研究結果を取り入れて、日々の現場の仕事につなげられるよう、意識していきましょう(^ ^)

以上です。お役に立てれば幸いです(^ ^)

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